sns 誹謗中傷 法律改正

企業法務ナビでは、不定期に法務に関する有益な情報(最新の法律情報、研修、交流会(MSサロン)の開催)をお届けするメールマガジンを配信しています。

これに対する山本弁護士の回答は、商品やインフルエンサーの信頼を損なわせ、その結果、営業に支障が生じるような内容であれば営業権侵害にあたる可能性があることに加え、投稿の内容に嘘があれば、名誉権侵害にあたる可能性もあるというものでした。関口氏は「製品やブランドを誹謗中傷されたときに、営業権侵害として訴えられることは初めて知りました」と納得していました。

SNS等の普及により、個人がインターネット上で誹謗中傷を受けることも多くなりました。そのような事態に遭遇してしまった時に関係する法律が、『特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律』(通称『プロバイダ責任制限法』)です。このプロバイダ責任制限法が改正され、もうすぐ施行される運びとなりました。今回は、より円滑に被害者を救済できるように見直された、改正プロバイダ責任制限法について説明します。

2022年10月1日から施行された改正プロバイダ責任制限法では、SNS等で誹謗中傷をした者の情報開示の裁判手続きがより簡易になりました。詳しくは、PDFファイル、総務省のホームページ<外部リンク>を確認ください。

インターネット上の誹謗中傷対策強化を目的として、侮辱罪の法定刑を引き上げる改正刑法案が13日、参院本会議で賛成多数で可決・成立していたことがわかりました。夏にも施行される見通しとのことです。今回は侮辱罪の概要とネット中傷対策について見直していきます。

現在の制度では、誹謗中傷の投稿が行われても、投稿者を特定するまでに「時間」と「お金」がかかってしまいます。そのため、被害者が発信者情報の開示請求に踏み込むには躊躇することが多いのが現状です。

プロバイダ責任制限法が改正され、インターネット上の誹謗中傷などによる権利侵害について、より円滑に被害者救済を図るため、発信者情報開示について新たな裁判手続(非訟手続)を創設するなどの見直しがなされました。

さきほどと同様、SNSで全く知らない人からひどい誹謗中傷を受けたので、発信者情報の開示請求をしたいという場面を考えてみます。

また、ある誹謗中傷が犯罪に該当するかどうかと、それに対する損害賠償請求が認められるかどうかという判断基準は重なる部分が多いものの、まったく同じというわけではありません。

2020年5月に女子プロレスラーの木村花さん(当時22)がSNSで誹謗中傷を受け自殺した問題で、男2人が略式起訴されたものの科料9000円にとどまり、厳罰化を求める声が高まっていたとされます。また近年この事例にとどまらずインターネットやSNSの普及に伴い、匿名での誹謗中傷や風評被害を受ける例が後を絶たないの現状です。対策としてプロバイダ責任制限法による発信者情報開示制度などが創設されましたが、そもそもの誹謗中傷の抑止効果が必要であるとして侮辱罪の法定刑の強化にいたったとされます。しかし侮辱罪の厳罰化については、かねてより「表現の自由」への影響を懸念する声も上げられており、言論弾圧につながる可能性も否定できないとされてきました。そこで今回の法改正では施行から3年後を目処に表現の自由に対する制約となっていないかを有識者を交えて検証するとされております。

このように、これまでSNSで誹謗中傷された場合には、SNSの運営者に申立をし、「どこの接続業者から誹謗中傷するコメントが書き込まれたのか」を明確にしなければなりません。次に携帯電話会社やインターネット接続業者に対して、「投稿者の氏名や住所の開示請求」をするという二度の裁判をする必要がありました。

「プロバイダ責任制限法」は、正式には「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」といいます。Webサイトや電子掲示板などで行われる情報の流通によって、権利侵害があった場合において、プロバイダ、サーバ管理者・運営者、掲示板管理者などの損害賠償責任の制限と、発信者情報の開示を請求する権利を定めたものになります。

弁護士法人戸田総合法律事務所の代表弁護士。

SNSなどの誹謗中傷やいじめは、年々多くの問題が浮き彫りとなっています。それが原因となって自ら命を絶ってしまう大人も子どももいます。今回の改正がいじめや誹謗中傷投稿の抑止になることを願っており、匿名だからといって好き勝手に書くことは控えることを、しっかりとスクールガーディアンの啓発活動を通して広めていきたいと感じております。

新制度がスタートすれば、複雑だった裁判手続きも解消され、裁判にかかっていた時間は短縮され、費用負担もより軽くなることが見込まれます。誹謗中傷の被害者になることは、有名人にかぎらず、誰にでもありえることです。今後も、誹謗中傷に関する被害者救済制度の整備には注目していきたいですね。

おすすめの記事