自治体での実践に取り組む岩田氏を通じて「やさしい日本語」と出会う

専門:日本語教育、日本語の文法、やさしい日本語活動:横浜市、町田市、静岡県など様々な自治体で「やさしい日本語」推進活動に関わる。目標:教室に留まらず社会に飛び出して活躍する日本語教師を養成すること。言葉がスムーズに伝わる風通しの良い社会を作ること。その他:滋賀県出身、元青年海外協力隊隊員(内蒙古派遣:日本語教師)。自分の講演会に突然現れた武田氏を通じて、「医療の世界」と出会う。

「街のひろば」の活動にどう参加できるか、中心的役割を担っている梶加寿子さんにお尋ねしたところ、子どもたちへの栄養教室と外国人である両親への「健康相談」の実施を提案されました。そこで、2017年2月に、順天堂大学医学部ならびに医療通訳養成を行っている国際教養学部の教員・学生と共に「街のひろば」を訪問することになりました。そして、その準備教育として、新居氏から「外国人の抱える三つの壁:ことばの壁、文化の壁、法律の壁」についての講義を受けたのです。その際、医療界ではほとんど知られていなかった「やさしい日本語」を、私たちは初めて知ることとなりました。

患者の表情を読み取りながら、生活背景にも目をとめたコミュニケーションは、実はすべての患者と接するときに求められるものである。聴き取りにくさを覚えている高齢者、病気や治療の影響で理解度が低下している入院患者、小さなお子さんや障害を抱えている方など、様々な方々に接するときにも役に立つ。日常の臨床業務にも活用できるスキルとして、「やさしい日本語」に取り組みたい。

「健康相談会」では、ことばや文化の壁が、外国から来られた方々に大きな不安をもたらしていることを知りました。日本語を母語としない方々にとって、医療機関の受診はとても勇気がいることです。「なるべく病院に行かずに治るのを待つようにしている」と言われる方も少なくありません。医療機関を受診されたときには、かなり切羽詰まった状況である可能性があります。ことばが分からないからと義務教育中の子どもが学校を休んで付き添うことも、まれならずあります。詳細な病歴聴取が必要な時、深刻な状況の説明など、医療通訳者の存在が最も必要とされるそのような場面で通訳者に活躍して頂くために、普段、私たち医療者が自らできることとして「やさしい日本語」の活用が求められます。さらに、医療者が「やさしい日本語」を話すと、医療通訳者が通訳しやすくなり、翻訳アプリでもより正確に外国語に変換されることに、私は後から気づきました。

専門: 医学教育、地域医療、プライマリ・ケア、国際保健活動:健康格差の社会的要因(SDH)に関する教育・研究を大学で行い、週に一度、都内の在宅医療クリニックで訪問診療に従事目標:病院の入り口に立てない方々の存在を伝えて、「自己責任」といわない、コミュニティと協働できる医療者を育てるその他:宮崎県出身。路上生活者への支援活動に参加し、医療相談を定期的に行っている。医学生の実習先を相談した新居氏を通じて、「やさしい日本語」と出会う 。

専門:多文化共生事業とコーディネーター活動:多言語・多文化にかかわる専門家ネットワークのNPOの職員。外国人相談、コミュニティ通訳や地域日本語教育等の事業に従事目標:未来とは人間によって創造されるべきものであるその他:京都府出身。地域での民生児童委員活動や高齢者の居場所づくりなど地域福祉と外国人支援の領域の「共生」を自らの活動として模索実践中。自治体での実践に取り組む岩田氏を通じて「やさしい日本語」と出会う。

私は米国で臨床研修を行っており英語には困りませんでしたが、実際に「外国人健康相談会」を行ってみますと、英語で会話できる方はわずかでした。多様な言語の医療通訳者の協力をすぐに得ることができない状況では、「やさしい日本語」が役立つことが分かりました。「やさしい日本語」は、外国語の学習と違って、新しい単語を覚えたり文法を学ぶ必要がありません。ちょっとしたコツと工夫で、普通の会話であれば驚くほど理解されるようになります。慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、伝えたいという思いさえあれば試行錯誤のなかから必ずよい方法が見つかると感じました。

専門:ヘルスコミュニケーション学、医療社会学、行動科学活動:医学部生から公衆衛生専門職修士・博士まで、保健医療専門職になる人を対象とした行動科学・コミュニケーションの教育目標:コミュニケーションを通じた患者・市民と保健医療専門職との協働。それを促せる保健医療専門職を育てること。その他:茨城県出身。医学教育を接点に交流のあった武田氏を通じて、「やさしい日本語」と出会う。

特に、“外国人との会話は英語”と思い込んでいる医療者に、「在留外国人は英語よりも日本語を理解する人の方が多い」という調査結果を知っていただき、「やさしい日本語」を活用していただけることを願っています。

私は、週に一度、在宅医療クリニックで訪問診療を行っているのですが、実はそこでも「やさしい日本語」の力を感じています。高齢者との会話や、例えば動転しているご家族への説明の際に、この「やさしい日本語」がとても役立つのです。外国につながりのある方々だけでなく、高齢者や障がいのある方、子どもたちなど、ことばの理解や聴こえに不安のある方々にもきっと大きな助けになることでしょう。様々な場面で、「やさしい日本語」が活用されることを願っています。

医療現場の外国人対応 英語だけじゃない「やさしい日本語」

やさしい日本語の知識をさらに深めて、外国人住民との実践演習を行います。

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