同社は 坂本氏のツイッターへの書き込みを過去にさかのぼって調査
ツイッターへの不適切な投稿で当事者の感情を傷つけたとして、東京高裁から懲戒申し立てを受けた岡口基一判事(52)の分限裁判で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は17日、「投稿は裁判の公正を疑わせる内容で、表現の自由として許容される限度を逸脱した」とし、岡口判事を戒告とする決定をした。インターネット交流サイト(SNS)での発信を理由に裁判官が懲戒されるのは初めて。決定によると、岡口判事は5月、自身が担当していなかった飼い犬の所有権をめぐる民事訴訟について、ツイッターに実名で投稿。「公園に放置されていた犬を保護し育てていたら、もとの飼い主が『返してください』え?あなた?この犬を捨てたんでしょ?」などと書き込んだ。大法廷は「裁判官が、表面的で一方的な情報や理解のみに基づき、予断を持って判断するのではないかという疑念を国民に与えた」と指摘。国民には裁判を受ける権利があるのに、「元飼い主側が提訴したことを一方的に不当だと評価した」とした。岡口判事側は「懲戒は表現の自由の侵害だ」と訴えていたが、大法廷は「裁判官も一市民として表現の自由を有するのは当然だが、裁判官として許容される限度を逸脱した」と退けた。
報道などによりますと、元TBS記者の男性から2015年4月に性暴力を受けたと訴えていた伊藤さんに対し、ツイッター上で「枕営業の失敗」などと中傷する匿名投稿がなされていたとされます。かねてより伊藤さんを批判していた杉田氏はこのツイッター上での中傷コメントに「いいね」を押したとのことです。伊藤さんは杉田氏に対し、220万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴していました。一審東京地裁は、「いいね」は“称賛”から“悪くない”まで幅広い肯定感情を表すとして請求を棄却しましたが、伊藤さんは東京高裁に控訴し、今回の判決となりました。伊藤さんは、かねてより、誰かを傷つけてしまわないか、「いいね」押す前に考えてほしいと呼びかけていました。
ツイッターで自身を中傷する投稿に「いいね」を押されたことにより侮辱されたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが衆議院議員の杉田水脈氏に220万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で20日、東京高裁は55万円の賠償命令を出しました。「いいね」に賠償命令が出たのは初とのことです。今回は誹謗中傷への規制強化の動きを見ていきます。
新潟県の地方紙「新潟日報」を発行する新潟日報社は27日、県弁護士会の高島章弁護士に対する暴言をツイッター上に投稿していた上越支社元部長の坂本秀樹氏(53)=25日付で部長を解職、経営管理本部付=を、無期限・無給の懲戒休職処分にすると発表した。同社は「新聞人としてあってはならない行為である上、報道部長という役職を考慮して厳重処分とした」としている。同社は、坂本氏のツイッターへの書き込みを過去にさかのぼって調査。その結果、平成23年3月ごろから匿名で投稿を始めており、25年ごろから人権侵害や差別につながるような内容を「著しく品位を欠いた表現で繰り返し投稿していた」ことを確認した。社員のインターネット上への書き込みについて、同社は個人で行う場合でも会社への届け出を求め、品位を欠く書き込みを禁止する社内規定を設けていたが、坂本氏はツイッターへの書き込みを同社に届けていなかった.調査に対し、坂本氏は投稿の大半を自らが行ったことを認めた上で「仕事のストレスなどがあり、酒を飲みながら投稿してしまった」と話しているという。 坂本氏は、新潟水俣病第3次訴訟の原告側弁護団長でもある高島氏に対し「はよ、弁護士の仕事やめろ」「こんな弁護士が新潟水俣病3次訴訟の主力ってほんとかよ」などと中傷する内容を匿名で投稿していた。同社の桑山稔取締役経営管理本部長は「極めて不適切な行為であり、不快な思いをされた関係者の皆さまに深くおわびする。今後は会員制交流サイト(SNS)などの運用基準や指導体制をさらに強化し、全社員を対象とした研修を早急に開くなどして社員教育を徹底する」としている。
ツイッターなどのSNSや、ヤフーニュースのコメント欄などには、いわゆる「いいね」ボタンがついています。これはコメントに対して賛同する意思を表すものとされます。これに対して近年、自ら誹謗中傷や名誉毀損的な投稿をしなくても、それに賛同の意を表しているものであることから同じく侮辱や名誉毀損に該当しないかが問われています。実際の事例として、あるSNSに第三者が投稿した被害者を侮辱・脅迫し、名誉を毀損する内容の投稿の「いいね」ボタンを押したとして損害賠償請求がなされたものがあります。この事例で裁判所は、SNS上の「いいね」機能は、つぶやきなどの発言に対して賛同の意を示すものにとどまり、名誉毀損的発言と同視することはできず、「いいね」タグをクリックしたことをもって不法行為責任を負うものではないとし、損害賠償や削除を求める法的義務は認められないとしました(東京地裁平成26年3月20日)。このように原則として「いいね」をクリックしただけでは違法とは認められにくいということです。